障子の破れ穴
障子は紙だから、何かの拍子で破れることがある。中をのぞこうとして、指先を舐めて、わざと穴をあけることもある。八つ当たりで破いてしまうこともある。
さて、破れた障子はどうするか。張り替えるのは年に一度、年末大掃除の時くらいである。かといって穴があいたままではみっともない。
ということで、障子紙を穴より少し大きくきって、穴を塞ぐ。ただ、丸や四角にきったのでは面白くない。それでは単なるつぎはぎである。やや貧乏たらしい。
それでは、とうのでちょっとお洒落な補修が施された。すなわち、星やモミジの形に切って貼れば格好良い。が、みな同じことをやる。かなり流行した。
するとあまりお洒落ではなくなってしまう。星やモミジはかえって破れ穴隠しであることを強調してしまう。とまあ、思ったような結果にはならないが、それでも破れたままよりはまし。なのでバレても、まだ星やモミジはたくさん繁殖していた。
今ならどうするだろうか、キャラクター・シールをペタッと貼るのだろうか。いやいや、その前に障子そのものがなくなってしまった。残っているのはインテリアとしての障子。見栄えが大事だから、モミジで穴を塞ぐのはみっともない。おそらくは時期を待たずに全面貼り替えだろう。
かくして、星も紅葉もすっかり影をひそめてしまった。