交通整理のお巡りさん

 昭和の時代には、大きな交差点の真ん中では、警棒をかかげ、笛を吹き鳴らして、交通整理をするお巡りさんをよく見かけた。

 なかには、一点の無駄もない、きれのよい動作で注目を浴びる、人気者のお巡りさんもいた。

 当時も信号はあったと思うのだが、お巡りさんがいたのはなぜだろう。

 信号の渡りかたを知らないひとが多かったのだろうか?

 信号の信頼性が低かったのだろうか?

 まあ、機械より人間、人間が直接指示する方がより安全だったのだろう。

 その交通整理のお巡りさんを殆ど見かけなくなった。工事現場などでは交通整理も行われているが、大概は民間のガードマンがやっている。光る棒とトランシーバでやっている。

 さきの震災で停電になったとき、久しぶりにお巡りさんの交通整理に遭遇した。だけど突然のこと故、以前のようなさっそうとした無駄のない動作を期待するのは無理な話。これもまた、さびしい。