横浜駅の通路

 今の横浜駅を大ざっぱに言えば、電車が南北に走り、その線路の東西に駅の入口がある。東口と西口を結ぶ通路は自由通路となっている。その自由通路にJR、京急、東急の改札がある。相鉄と市営地下鉄は少し離れたところにある。

 かつては違っていた。東口と西口はJR(当時は国鉄)の改札で、今の自由通路はJRの通路であった。そのJRの通路に京急と東急の改札があった。

 京急や東急の私鉄に乗るには、まずJRの改札を通り、それから私鉄の改札、と二段構えだった。ただし、私鉄の乗客はJRの乗車券を買う必要はなく、私鉄の乗車券でJRの改札を通過することができた。そりゃ当然ですな。むろん逆は不可。JRの乗車券で私鉄の改札を通ることはできません。

 わたしは、京急の定期券を持っていた。なのでJRの改札を通ることができる。これを悪用することもできる。どこかへ行った帰り、JRは初乗り運賃だけで乗ることが可能になる。むろん、これは不法行為。だが、簡単にできてしまう。

 たとえば、東京駅で一区間だけ切符(当時30円)を買い、東海道線に乗る。横浜で降りて、改札を出ずに定期で京急に乗る。改札では、東京から来たのか、横浜でJRの改札を入ったのか区別がつかない。あとは、京急の最寄り駅で定期を使って降りればよい。きわめてスムーズにキセル乗車ができてしまう。

 これは、乗り込むのが東京駅でも大阪駅でも鹿児島駅でも同じ。鹿児島から30円で帰ってくることも可能。

 むろん、そんな悪いことはいたしませんでしたよ、……たぶん。