昭和っていつ?

 昭和をイメージするとき、反射絵的に33年頃、すなわち三丁目の夕日の時代、東京タワー完成の頃を思い浮かべる。小学校の中後半を過ごした時代である。都合によっては、中高生、ときには大学、あるいは社会人早期までを昭和に含めてしまうこともあるが、これは便宜上、ご都合主義的な例外である。本流はやはり33年+α。

 といっても、これはあくまでもわたしにとっての昭和である。

 という当たり前のことを言うのは、山本七平さんの『昭和東京ものがたり』(日経ビジネス文庫)を手にしたから。1921年生まれの山本さんにとっての昭和は戦前であった。たしかに、戦中に二十歳になったのであれば昭和の思い出は戦前であろう。

 反対に、東京オリンピックの頃(1964年)に生まれたひとにとっての昭和は、大阪万博(1970年)頃だろう。

 一口に昭和といってもひとそれぞれに思い浮かべる時代が違う。時代が異なれば、思い浮かべることも違ってくる。とまあ、そんな当たり前のことに今更ながら気がつき、少し感心している次第。