扇風機

 節電対策とやらで扇風機が見直されているらしい。

 出回りはじめたころの扇風機は強力な味方だった。それまでは団扇、扇子の時代である。エアコンがつくまでにはまだまだ間がある。

 むろん、ひとりに一台であろうはずはなく、一家に一台である。当然のように首振り機能を作動させて、部屋中にまんべんなく風を供給できるようにされている。独占は不可。首振りに合わせて移動すると怒られる。自分の前に来たときに扇風機に向かって「あ〜〜」と声を出すと、声が震える。よくやった。これは怒られなかった。

 網にリボンが結ばれている扇風機も少なくない。電気屋さんの店頭のりぼんはなんとなく意味がわかる。風が起きていることをわかりやすく示しているのだろう。

 が、食堂や家庭のリボンはなんのため? 風が起きていることを示す必要があるのだろうか? リボンがなびいているとより涼しげに感じるのだろうか?

 扇風機をかけても暑くてたまらないときには、網に水をかけたりもしてみたが、さして効果はなかった。畳が濡れると言って怒られた。