ラジオ

 昭和の画期的できごとのひとつはテレビの登場であるが、テレビが普及する前の家庭の娯楽の主役はラジオだった。

 ラジオはテレビが普及しても放送を続けているが、わたしにとってはテレビの普及と同時にしばらく縁が切れてしまった。

 縁が切れる前はどんな番組を聴いていたのか、というとそれがどうもあやふやだ。テレビを見始めたのが小学校の二三年生のころだから、その前を思い出せなくとも不思議ではない。

 なのだが、そこをなんとか振り絞ってみると、すこしだけ湧いてきた。

 むろん『君の名は』は記憶にない。なんとなく聴いていたような気がするのが、『赤胴鈴之助』。テーマソングの前に、「小僧、ちょこざいな、名を名のれ」「赤胴鈴之助だ」という科白のやりとりを覚えている。

 『笛吹童子』。物語も登場人物も覚えていないが、「ひゃりーこ、ひゃらりーこ」というテーマソングは覚えている。これ、笛の音(のつもり)だったのですね。

 『少年探偵団』。「ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団。勇気凛々、瑠璃の色」で始まるテーマソングを覚えているひとは少なくは無いだろう。

 「緑の丘の赤い屋根」の『鐘の鳴る丘』。『ヤン坊、ニン坊、トン坊」のテーマソングはたいとるそのまま。

 「わっはっは、うっふっふ」のお笑い三人組はそのままテレビにも移行。

 あれ、こうしてみると、テーマソングが記憶に残っているものばかりだ。そういうものなのだろうか。

(註)一部、テレビと記憶ちがいをしているものがあるかもしれません(ありそうです)が、ご容赦ください。