映画鑑賞

 小学生のころ、〝映画鑑賞〟なるものが年に数回あった。

 一学年がそろって街中の映画館へ行きそこで映画を観て帰ってくる。観る映画はそのときにかかっているものではない。映画鑑賞のために特別にその時間だけ映される。

 映画館も何かと気を遣っていたようだが、それでもそのときかかっていたり、次回の予定が、〝おとな〟向けのフィルムである場合など、あちこちにそれが残っていたりする。ときには予告のスチルがそのまま貼られていることもある。小学生にとってはそれが楽しみだった。

 見せられるのは、いわゆる教育的・良心的映画。あまり面白くない。が、DVDだのビデオなんてものがなかった時代、こうでもしなければ〝良い〟映画をみることはできなかったのだろう。

 しかし、いたずら盛りの小学生には、真面目な映画はおもしろくない。なので、普段かかっている映画の痕跡を探しては教え合う。貴重な社会勉強の場であった(?)

 いまは、映画鑑賞なんてもの、なくなってしまったのだろうな。