ラムネ菓子

 昭和を語る際に必ずといって良いほど登場するものに一つにラムネである。ビー玉を栓の代わりにつかった独特の試用の瓶に入った炭酸飲料である。ラムネというのがそんなになつかしいものなのかどうか、若干疑問がなくもないがいまは不問とする。

 で、今回取り上げるのは、ラムネはラムネでも飲むラムネではなく食べるラムネ、ラムネ菓子である。

 ラムネ菓子はサイズの違いはあるものの、みな薄い円筒形をしており、色とりどりのセロファンに包まれている。セロファンはきっちり折るのではなく、ラムネに被せて両端をひねってある。食べるときは、その両端を持って引っ張れば、ねじり戻すことなく、包みが開く。

 一包みの中は、小さなラムネが数個入ったものと、少し大きめのラムネが一つだけ入ったものとがある。私の好みは後者である。ラムネははかない食べ物である。口の中で味わう間もなくすぐに溶けてしまう。だからちょっとでも大きい方がよい。小粒数個入りの場合は全部まとめて口に放り込んでしまう。

 さて、しょっちゅう食べていたラムネではあるが、子どものころ、これを買った記憶がない。頼りない食べ物なので買うほどのものではないような気がしていた。買わずに食べていた。そもそも単独売られていたのだろうか?

 何種類かのお菓子がまとまって袋に入れられて売られたり配られたりすることがある。そんな袋の中には必ずラムネが入っていた。売る方としては料金の調整用にラムネを使っていたのかも知れない。

 そのラムネが、いま、ラムネだけ単独で、袋に入って売られている。それを見つけて以来、買い置きを欠かさず、毎日少しづつ食べている。結構癖になる。