寒さ厳しき折

 この冬もだんだんと寒さが増してきた。

 が、確かに寒いけれど、昨シーズンのほうがもっと寒かったような気がする。さらにさかのぼれば、昭和の冬はもっともっと寒かった。

 昭和の寒さに比べれば、いまの寒さなどぐんと楽な気がする。子どものころは、連日霜柱を見かけたし、水たまりに氷りが張っていた。吐く息も白くなった。シモヤケやアカギレも絶えたことがない。鼻水もズルズルだった。いまはどれもあまり目にしない。

 土の地面や水たまりがなくなったから霜柱や氷りもなくなってしまったということもあるだろう。栄養が不足して寒さに弱かったこともあるだろう。

 それだけではない。当時の家はすきま風が吹き込み放題。断熱材などもないので、外気温がそのまま伝わる。加うるに、暖房は極めてお粗末だった。

 暖房といえるものは、炭火の火鉢と豆炭炬燵に湯たんぽくらいのものである。直接、暖を取るものばかりで会う。部屋を暖めるものなんてない。衣類にしても、ダウンだのフリースだのヒートテックなんてものはない。毛糸と綿だけである。

 ということで環境のせいでより寒さを感じていたことは否めない。だが、それでもやはり気温が違っていたように思われる。冬が暖かくなってきているのではないだろうか。これが地球温暖化のせいならば、〝温暖化ばんざい〟と讃えたいところだが、はたしてどうであろうか。多分、ちょっと違うだろうね。