好きだったクルマ

 子どものころ、外車に関する情報はほとんど知るよしがなかった。わたしの場合、どうやって手に入れたかわからない、ボロボロになってしまった本が一冊、それと池沢さとしの漫画だけである。

 その中で、贔屓にしていたクルマがある。一台はロータス・エランだったかセブンだったか定かではないが、クラシックカー・スタイルのオープンカー。確かドアも付いていなかった。

 それ以上に好きだったのが、ジャガーのタイプEクーペ。平べったい流線型でいかにも速そうなスタイルをしていた。

 ちかごろ、近所をふらふら歩いていたら、変な形をしたクラシック・カーが止まっているのを見つけた。なんとなくしまらない形をしている。近寄って、じっくり眺めて驚いた。なんとこれが、ジャガーEタイプ(タイプEではなく、Eタイプと書かれている)であった。実物を見るのは初めて。

 あれほどあこがれていたのに、それとは知らずに見かけたときの印象はカエル顔。どう見ても低くて平べったいとは思えない。当時はどうしてそう感じたのだろうか?

 まあ、ジャガーの名誉もあるでしょうから、横からの写真も付け加えます。確かに、正面から見ればカエル顔ですが、横から見ればいかにも早そうな流線型をしています。