ハロウィン

 気の早いところでは早くもハロウィンの飾り付けやその販売がはじまっている。昭和の頃にはハロウィンなんて知るよしもなかった。

 偶然ではあるけれど、わたしがハロウィンを知ったのは比較的早かったかもしれない。それでも70年代前半、昭和40年代後半である。

 ブラッドベリの『たんぽぽのお酒』を買いにいったら品切れで手に入らなかった。晶文社の同じシリーズに同じ著者の『ハロウィーンがやってきた』という作品があったのでそれを買ってきて読んだ。この本ではじめてハロウィンなる行事があることを知った。

 そして、同じく70年代の末にサンフランシスコで本物のハロウィンを体験した。レンタカーの店に魔女がいた。街角でもたくさんの仮装をみかけた。

 日本でハロウィンが広まったのはそれからしばらくしてから。流布の仕掛け人になれば、ちょっとくらい儲かったかもしれないのに、と思いかけたが、商才がまったく欠如しているわたしには絵に描いた餅。みんなより先にしってたもんね、と自己満足で我慢する。

 そういえば、バレンタインはいつごろ広まったのだろうか。こどものころに一喜一憂した記憶はないのだが。ひょっとしたら、わたしだけ縁がなかった?