サイダー

 子どものころのハレの飲みものの代表はサイダーだった。

 当時炭酸飲料はサイダーとラムネくらいしかなかったのではないだろうか。そしてラムネは日常すなわちケの飲料、サイダーがハレの飲料であった。わたしも、やはりラムネよりサイダーを好んだ。

 戦前の海軍の会席メニューを見たことがあるが、高級料理にならんで、わざわざ〝サイダー〟と書かれている。やはり、サイダーは高級品だったようだ。


 サイダー市場は三ツ矢サイダーの独り占め状態ではなかっただろうか。リボンシトロンというのもあったが、あまり売れてなかったような気がする。キリンレモンが出るのは少し後になる。

 ところでサイダーはどうしてビール会社からでるのだろうか。三ツ矢はアサヒ、リボンはサッポロ、キリンはキリン。サントリーはまだビールに進出していなかった。もしかしたら、いまだにサイダーは出していないかも。

 ところで、最近、サイダーが復権しているようだ。自販機やスーパー、コンビニの飲料品コーナーに三ツ矢サイダーがならぶようになった。そして、各地で地サイダーなるものが製造されているようだ。これは懐古というよりも、サイダーそのものがおいしいからなのだろうね。