消えたゼッケン

 子どものころ、学級新聞やグループやチームなどに名前をつける際、ほぼ定番として登場する言葉があった。

 よいこ、なかよし、あおぞら、にこにこ、……

 いまはどうなのだろう。こんな名前の野球チームを見かけることはない。もっとかっこよい名前がついている。もっとも、子どもたちが自発的にチームをつくり、名前をつけること自体貴重なことになっているようなので、単に名前だけを比較することはできないが。

 そうそう、子どもといえば、マスコミは子どものことを〝ちびっこ〟と言っていた。〝ちびっこ歌合戦〟だの〝ちびっこギャング〟だのといったテレビ番組もあった。一斉を風靡した〝ちびっこ〟であるが、このところとんと耳にしなくなった。ちびっこ〟に一体何があったのだろうか。

 消えてしまった言葉で思い出したのが〝ゼッケン〟。マラソン選手などがシャツにつけている番号はむかし〝ゼッケン〟と呼ばれていた。テレビの中継でも間違いなくそう呼んでいた。ところが、どうだ。最近は〝ナンバーカード〟である。ゼッケン〟などという言葉は一切耳にしない。いつ、どうして〝ゼッケン〟が〝ナンバーカード〟になってしまったのだろうか。〝ゼッケン〟がいったいどんな悪さをしたのだろうか。