傷痍軍人

 気がついたらきのうは終戦記念日だった。終戦ではなく敗戦だ、とこだわるひともいるけれどわたしはどっちでもよい。ただ、あの戦争は負けたから悪いという風には思わない。じゃあ、価値さえすれば良い戦争だったのか、と減らず口をききたくもなってくる。まあとにかく、勝ち負け云々よりも終わったということに意味があるように思われる。なのでわたしは終戦という言葉を使っている。

 わたしが子どもの頃、傷痍軍人と言われる人々をよく見かけた。なぜか白い服を着て、アコーディオンを弾きながら施しを受けている人が多いように思われた。なぜ、白いふくなのか? なぜアコーディオンなのか? なぜ唄うのか? 当時も今も良くわからない。

 その傷痍軍人をいつの頃かまったく目にしなくなった。かれらはどこへ行ってしまったのだろうか? 歳を取ったり傷が痛んだりして外へ出られなくなった? 福祉が行き届き施しをうけなくとも生活できるようになった? 何かの圧力で追放/消滅されてしまった?