年号

 子どもの頃、年号は元号、すなわち昭和で数えていた。子どもだったこともあるだろうが、それが当たり前で特に不便もなかった。周りにも昭和で通用した。というより昭和でなければ通用しなかった。自分の生年も昭和でしか言えなかった。

 西暦が堂々と表に出て来たのは、東京オリンピックの年、すなわち1964年ではなかろうか。オリンピックという国際的な行事なので西暦のほうが似合っていたのだろう。もちろん外国に対して元号は通用しない。

 西暦に馴染みがでると、わたしの中では立場が逆転してしまった。1964年以降、元号はすっかり身を潜めてしまった。1964年からして、昭和で何年なのか咄嗟には出てこない。

 以降、昭和が出てくるのは、生年月日と就職年月日くらいである。時が経ち、昭和が終わり平成になると、もう西暦でしか考えらることができない。昭和が64年だから平成何年は昭和何年にあたる、などとまどろっこしいことをやっていられない。正確に計算する自信もない。

 わたしの子どもの頃も、大人の世界では大正も明治も現実の時間軸の中にあったのだから、その換算はよりややこしかっただろう。当時のおとなはけっこう計算力があったのだろうか。

 わかりやすさ、国際性で西暦のほうが圧倒的に利があるのだが、いまだ、お役所は元号一本槍となっている。改める気はないのだろうか。それから、正月。正月になると元号を使いたがるひとが増えるのも不思議な現象だ。

 なお、申し開きの必要はないと思うが、このブログのタイトルは意識して「昭和」という言葉を使っているんですよ。つまり特定の“時代”を表すために「昭和」といっているので、これは年号ではありません。