履き物

 子どもの頃どんな履き物を履いていたのだろうか。はっきりした記憶がない。

 小学校にあがるまでは、下駄が主だったような気がする。幼稚園の“ハレ”の卒園写真には下駄履き姿のわたしが写っている。夏はともかくとして、靴下で下駄は履けないので、寒い季節に下駄を履くときには足袋を履いていたのだろう。コハゼをとめる記憶がなんとなく蘇ってきた。白ではなく黒い足袋だったように思われる。

 小学校に下駄で通学することは許されていなかったようだ。必然的に運動靴になるが、さてどんな形の靴をはいていたことやらとんと記憶がない。紐靴ではなかった。爪先の上部がゴムでできた靴だったような気もしてきたが自信はない。

 靴といえば運動会。徒競走ではだれでも速く走りたいもの。いまなら、アディダスにするかナイキにするかと悩むのかもしれないが、当時は裸足と運動靴、どちらが早く走れるか悩んだものである。さらにややこしくするのが、“地下足袋”という選択肢もあったこと。これは底がゴムになった足袋で、一応運動用として売られていた。