黒煙は元気の象徴!?

 昭和三十年代の日本。戦争により荒廃・疲弊した国土が高度成長に向かって胎動を始める。

 その活力を現すためにしばしば使われた光景が、工場の煙突から勢いよくもくもくと吐き出させる黒煙。この真っ黒な煙の勢いが国の力を象徴していた。

 もちろん当時は公害なんてものは一般化していなかった。水銀汚染や大気汚染が問題になるのはもう少しあとのことである。この黒煙の映像も少し時代が経てば、恐るべき大気汚染の証拠となってしまう。元気の象徴も地に落つる。