アブラムシ

 昭和の時代、キャーキャー言って賑わっていたのに、あっという間にいなくなってしまったものに「アブラムシ」があります。

 アブラムシといっても、アリに守られて植物の密を吸い、テントウムシに狙われる虫、アリマキではありません。

 もっと大きくて平べっくすばしこい虫です。突然、室内に出現します。これに出くわすと、勇敢に立ち向かうひともいれば、やたら逃げまわるひともいます。見て見ぬ振りをするひとは少ないようです。

 昭和の時代はこれがやたらと目立っていました。それが、いつの間にかいなくなってしまいました。いえ、いなくなってはいません。

 それがアブラムシ。確かに、いまの時代、「アブラムシ」という言葉を耳にすることはありません。あっても、それは園芸家の天敵、アリマキのことでしょう。

 昭和のアブラムシ。それは、ゴキブリのことです。昭和の時代は、ゴキブリよりもアブラムシで通っていました。黒光りするからだがまるで油をひいたかのように見えることからそう呼ばれていたのでしょう。

 いまの時代、住環境や殺虫剤・捕獲剤が改良され、若干減ったようにも見えますが、どうして、まだまだ健在です。でも、その呼び名は、ゴキブリ一辺倒でアブラムシと呼ぶひとはまずいません。

 それは正しいことなのですが、どうして変わってしまったのでしょうか。意図して修正したのではなく、自然に変わってしまったような気がします。