マント

 昭和の時代には空を飛ぶヒーローがいた。スーパーマン、スーパーウーマン、マイティマウス、スーパージャイアント、……。

 どういうわけか、彼らはみなマントを羽織っていた。このマントは服飾史に残るマントとはちょっと違う。簡単にいってしまえば、風呂敷の一端にひもが着いていて、このひもを首に巻くだけのものだ。普段は首に巻いたひもで背中にぶら下がっている。

 冒頭に書いたように、これらのヒーローは空を飛ぶ。空を飛ぶとマントは風を受け背中で翻る。いや、逆かな。空を飛んでる感じを出すために風になびくマントをまとっていたのかもしれない。

 少年ジェットなどの空を飛べないヒーローは、首に巻いたネッカチーフを風になびかせてバイクで疾走していた。背中でなびくマントに比べると、ずいぶんと慎ましい。