昭和の時代、地球上に火星人が存在していた。
蛸のような姿をした火星人が存在していた。丸いけれど蛸よりは平たい頭にたくさんの脚。衣服はまとわず裸で歩き回っていた。裸でも重力の差は問題なかったようだ。言語はもっていたようだが、人間の耳にはピーピーとしか聞こえなかった。
まあ、そんなような共通イメージの火星人が確かに存在していた。ときには、アメリカに襲来し占拠しそうになったことさえあった。
そんな火星人だが、最近ではとんと見かけなくなった。見かけなくなったばかりでなく、その存在すら忘れられてしまった。あるいは最初から知らない若者も多くなっている。
ちょっとさびしい。