預かる
宅急便という便利な仕組みができるまえ。荷物の配達は、日通、郵便局そしてデパートなどの自前配達に限られていた。どれも、十分な輸送車を持たなかったのだろう。あるいは、適切な配送スケジュールを組んでいなかったのだろう。
なぜかというと、配達先が留守のとき、荷物をよくお隣さんに預けていったから。
これは、再配達の労を避けたかったからであろう。ということは、再配達するのはかなり非効率だったのだろう。
もうひとつ、近所付き合いも今よりは蜜だったことがうかがえる。現在は、隣のひとの顔を知らないことも珍しくない。また、いま下手に他人に預けるとは個人の機密の漏洩などとうるさいことを言われ兼ねない。
いまでは、他人宛の荷物を預けることもないし、預かることもない。近所付き合いが希薄になっていると嘆くべきか、余計な煩わしさや気遣いがへったことを喜ぶべきか。
ひとつ言えるのは、〝おすそわけ〟をもらえなくなってしまったこと(笑)