ティッシュペーパー

 昔は、はなかみとかちり紙を使っていた。これは呼び方が異なるだけで、同じものであろう。要するに吸湿性のある長方形の一枚紙である。

 トイレにはこれをそのままどかっと重ねて置いてある。

 外出時には何枚かを重ねて、何回か折り畳んで小さくしたものをポケットに入れていく。子どもは活発に動く。するとポケットの中のはなかみはくしゃくしゃになってしまう。折り目が擦れてボロボロになる。使う前にダメになってしまうことのほうが多かったかも。ポケットに入れたまま洗濯してしまい往生することもしばしば。

 そんななか、ティッシュペーパが入ってくる。最初は箱入り。取り出すのが容易になり、肌触りがソフトになった。あっという間に広まる。

 ふと思ったのだが、ティッシュペーパーが出回ってから紙の消費量が極端に増えたのではなかろうか。ティッシュ以前、はなかみを部屋に置いておくようなことはなかったと思う。ということは、日常的には使っていなかったのだろう。使うのは風邪をひいた時くらいだったのではなかろうか。

 箱入りのあと、ポケットティッシュも出回った。これもまた便利なものである。最初から小さく畳まれているのでそのまま持っていける。一枚ずつ取り出すのが簡単。ビニールケースに入っているので、ポケットの中ですり切れることがない。

 はなかみを持ち歩くことは小学生のころから義務づけられているので、いつもポケットに入ってはいたが、いざ使おうとすると、一枚ずつ取り出すのに手間取ったり、折り目がすり切れて使い物にならなかったり。持っているだけ、使えないことも少なくなかった。

 ポケットティッシュはこれらをほぼ解決した。これによって、本当の消費も増えたことだろう(ボロボロのなったので取り替えるのが嘘の消費)。

 ひねくれた見方をすれば、なければないで済んでいたものが、便利になったから紙の消費が増えてしまった、といえなくもない。それでよかったと思っているが、どうだろう。

 そうそう、トイレにはティッシュは普及しなかった。こちらは完全にロール状のトイレットペーパーの世界である。これは、価格の問題、そして水洗化の普及が影響しているでしょうね。