民謡

 廃れてしまったもののひとつに民謡をあげてはいけないだろうか。いや、民謡そのものは廃れてはいないだろう、多分。が、民謡を唄ったり聞いたりする機会は間違いなく減っているだろう。

 かつては、宴席などで、出身地の民謡が、自発的・強制的に披露されたものだ。九州出身者は黒田節、北海道はソーラン節などなど。

 いまは、まずそんなことにはならないだろう。カラオケの影響も大いにあるだろう。カラオケがあれば得意な唄を唄いたくなる。民謡なんて唄いたくない。いや、地元にいるときからカラオケばかりで、民謡を覚える機会もなくなってしまったのかも知れない。唄もまた、一元化してしまった。

 いま、民謡で元気なのは沖縄くらいのものだろう。沖縄だけはますます盛んなのはどうしてだろう? なんとなくわかるのは、民謡というのは、労働唄、ワークソングが多いのに対して、沖縄の唄は魂の唄、ソウルだから、ではないだろうか……。

 でも、ソウルがもてはやされるのはわかるが、ワークソングが疎んぜられるのはわからない。